タンポポ調査(2) タンポポの花の形と見分け方

 タンポポの仲間は日本には30種類以上あるとされています。分類が難しく、確定していません。そして5年前のタンポポ調査では、三重県では在来種は黄色いタンポポが5種類、白いタンポポが2種類あることがわかっています。あと外来種が2種類です。西日本全体では、黄色い在来種は11種類、白い在来種は2種類、外来種は2種類でした。

 まずタンポポはキク科です。キクの花はみんな似ていて、キクであることは大体わかります。キクの形の花は頭花と呼ばれていて、実は花びら一つ一つが花です。例えばタンポポの花は小さな花が80~200程度集まっていて、全体を総苞と呼ばれる緑色のガクのように見えるもので固められています。タンポポの総苞は二重になっていて、総苞内片と総苞外片があります。タンポポがたくさんの花の集まりである証拠に、綿帽子(冠毛)になってふわふわ飛んでいくときには、一つの花から一つの実ができていることがわかります。そして小さいので、一つの実の中には、一つのタネが入っています。あれは果実なのです。

 そしてタンポポ調査(1)の図にあったように、この総苞内片は花をしっかりと包む形をしていますが、総苞外片は、在来種では、内片の外側に、ぴったりとついて上向き、ところが外来種では、内片は上向き、外片ではそっくり返って下向きになっています。この形で在来種と外来種とが区別できます。ここまではおそらく植物に関心を持っておられる方は聞いたことがあると思います。そして総苞外片の先端が膨らんでいる(角状突起)種類があり、この有無や大きさが、タンポポの種類を決めるときに注目点の一つです。

 ところが困ったことに、先の図にあったように、外片の形が中途なものがあることが1990年ごろに分かり、それは在来種と外来種との雑種であることがわかりました。植物の世界では常識外なことでした。なぜかというと在来種は二倍体あるいは偶数倍体であるのに対し、外来種は奇数倍体だからです。この雑種のでき方などはいずれ改めて。

 現在はこの雑種の問題もほぼ解決して、雑種を含めた調査をしています。(布谷)

三重県総合博物館ミュージアムパートナー公式ホームページです。

ミュージアムパートナー会員募集中です。 2024年(令和6年)8月11日現在、  会員数は143組283名です。