タンポポ調査(4) タンポポと似た植物

 タンポポ調査が始まったのは1972年の京都市内で、全県的に実施されたのは、1974年の大阪府でした。当時は指標生物調査が盛んにおこなわれていて、タンポポは市民が環境評価をするのにふさわしい植物として、選ばれたのです。

 指標生物についてはまた説明するとして、指標生物になりうる生物の特徴として、この調査を考案した堀田満さんは、①誰でも知っていて間違えない ②親しみがある生物なので調査に参加してみたいと思う ③その存在が環境条件に反映している、ということを上げられました。私はこれに合わせて、④調査することに危険は伴わない ⑤調査をすることで環境に対する悪影響がない、ということを挙げていました。

 このタンポポは誰でも知っていて、間違えることがない、ということは当然と思っていました。ところが私が滋賀県で全研調査をしたとき、約6000点のデータが集まりましたが、タンポポ以外の植物が送られてきた比率は4%でした。一番多かったのはブタナとノゲシでした。

 タンポポとよく似たキク科の植物との違いははっきりしています。それは①茎がないことです。花が付いているのは花柄であって、茎は地表にあって見えません。なので②として、花の柄なので、枝分かれしませんし、花が先端に二つ付くことはありません。柄の上に頭花が一つです。③そして枝が地表にしかないので、葉は地表に広がるロゼットといわれるものだけです。花柄に葉は着きません。茎は見えなくても地表にありますので、茎から何本かの花柄がでて、一つの株から、いくつかの花を咲かせます。

 2015年に三重県総合博物館を事務局として調査を行ったときには、集まった3002の資料のうち、104がタンポポではありませんでした。3.5%でした。封筒の中で押しつぶされた花だけが届くと、なかなか同定が難しいものです。(布谷)

上写真:ブタナ

(写真と図はタンポポ調査西日本2015のHPより)

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