タンポポ調査(11) カンサイタンポポと、外来種の分布
タンポポ調査によって、新しい事実がいくつも分かり、論文も何本も書かれました。そういう中でカンサイタンポポの分布は、大規模調査をしたからこそ分かったことでした。
カンサイタンポポはその名前にもかかわらず、西日本全域に広がるタンポポと認識されてきました。西日本タンポポとでもいうべきもので、タンポポ調査が西日本全域で進められるようになった理由の一つはカンサイタンポポが分布している地域全体を調べることだったのです。ところが実際に調査してみると、全調査点約8万点のうち約2万点がカンサイタンポポで、その分布は西日本全域どころか淡路島を中心にした楕円形という結果でした。これは企画者たちが誰も予想もしなかった結果でした。植物図鑑ではカンサイタンポポの分布は、「近畿地方から沖縄」などと書いてあります。
分布を示す赤い点は広く各地に見られますが、場所を調べてみると、ほとんどが公園や庭園でした。つまり植木の土について広がったのではないかと考えられます。もちろんカンサイタンポポがまさしく関西近くに分布している理由はわかりません。
ついでにもう一つの発見。考えてみたらわかることだったのですが。タンポポの在来種と外来種の割合を示した図を作りました。下の図を見てください。赤は外来種が多いところ、緑は在来種が多いところです。意外なことに中国地方や九州、四国の一部など、ほとんどが赤が多いという結果です。赤が多いほど都市化している、ということを考えていましたから、とても意外でした。でもこれは、ほかのデータを見れば理解できることでした。
中国地方や兵庫の日本海側などには、もともと在来種のタンポポは少なかったのです。したがって在来タンポポが分布しない地域にガイライタンポポが侵入して、外来種だけが分布する分布図になったのです。これも大阪や近畿地方でうまくいったことから始まった調査であったことから生まれた思い込みでした。
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